橋口建築研究所|Hashiguchi Arechitect & Associates

織物の茶室 + 白沙村荘 橋本関雪記念館

京都市左京区
用途:茶室
延床面積:2帖
階数:1階
構造:ステンレスフレーム+縒り糸
撮影:淺川 敏

『織物の茶室+白沙村荘 橋本関雪記念館』
【会場】橋本関雪画伯 大画室 存古楼
【出展】
 茶室:橋口新一郎|建築家
 生花:芦田一寿|華道遠州宗家
【撮影】淺川敏
【企画】橋口新一郎+和奏JAPAN
【主催】公益財団法人 橋本関雪記念館

【白沙村荘 橋本関雪記念館】
白沙村荘は日本画家、橋本関雪が自身の制作を行うアトリエとして造営した邸宅です。10000平方メートルの敷地内には大正〜昭和初期に建築された居宅、日本画の制作を行っていた3つの画室、茶室、持仏堂などの建造物が散在しており、国の名勝に指定されている池泉回遊式庭園は7400平方メートルにおよび、平安から鎌倉時代にかけての石像美術品が多く置かれています。庭園そして建造物の設計も橋本関雪の手によるもので、彼の美意識が随所に反映された庭屋の調和した景観そのものが白沙村荘の大きな見どころとなります。

【華道遠州】
華道遠州は日本三大茶人のひとり、小堀遠州公を流祖としています。彼の美意識「綺麗さび」を継承した花を日本全国の支部に展開しています。文化文政の時代、遠州流のいけばなは日本中に大流行し、遠州生花の美しさは公家・武家社会に愛されただけでなく、広く大衆へと浸透していきました。草花や花木を美しい流麗な曲線美の姿に作り変え、日本の仏教・神道思想、和歌や故事の「見立て」、陰陽五行に則した天地人の自然の配置など、それを和の室内遊芸として完成した挿花(生花)いけばなは、まさに日本文化です。そして華道遠州はそんなほんものの華道の教えを伝えています。

【芦田一寿|華道遠州宗家】
現代の宗家、芦田一寿(いちじゅ)は「姿をつくりて、花となす」という先人の言葉をわかりやすく現代に解釈し、自然の美を越えてそれ以上の自然らしい美しさを人間の英知で生けるという「見立て」を伝えています。 「くさび橈め」という独特の技術による流麗な曲生けは、現代では修得者は数少なくなってしまい、文化遺産的な側面さえあります。19世紀末、いけばな版画の海外への流出とともに欧州のアールヌーボや印象派の画家に影響を与え、明治期の英国建築家J.Conderに愛され、北大路魯山人からも絶賛され、明治の美人画家イラストレーターの尾形月耕が好んで描いたその花姿をぜひいちどご覧ください。

【織物の茶室|霞庵】
2帖(1.8mx1.8mx1.8m)大のステンレスのフレームに、縒り糸を張りめぐらせた茶室空間です。織物の茶室は、製造工場での日常的な作業工程、これまでに積みあげてきた織物の技術の高さを表現しており、表にはでてこない職人たちの巧みな技術と、繊細な手仕事の重要性を伝えようとしています。
繊細な手仕事が施された一本の細い糸が、幾重にも織りかさなり、点から線、線から面へと変体し、緊張感に満ち溢れる空間にまで昇華する様を愛でるためのお茶室です。

【橋口新一郎|建築家】
1972年大阪府生まれ。近畿大学大学院修了後、出江寛に師事。日本の伝統的な技術や感性に着目し次々と茶室を発表、国内外で高い評価を得ている。代表作に「織物の茶室|霞庵」「和紙の茶室|蔡庵」「姫嶋神社・社務所」著書に「にほんのあらたなてしごと」がある。
グッドデザイン賞、DFAアジアデザイン賞、AACA賞優秀賞など多数受賞。
近畿大学建築学部 非常勤講師、ロンドン芸術大学 招待芸術家

ALL
ART WORK
OTHERS